司法書士に依頼をする場面は人生の中でそれほど多くはないと思いますが、それでも不動産を購入したり、相続手続きを行わなくてはならない場面で司法書士に依頼することがあると思います。
ですが、司法書士に依頼した経験はほとんどないでしょうから、相場感がわからず、この見積もりって適正なの?と思うこともあると思います。
そんな方の為に、とにかく司法書士費用を安くする方法を伝授したいと思います。
ただし、費用を安くするにあたってのデメリットもありますので、その辺についても解説していきたいと思います。
では、スタートです。
まずは結論!
まず結論ですが、「とにかく相見積もりを取ること」です。
現在の司法書士の報酬は自由化されており(昔は一律の司法書士報酬が決められていました)、手続き費用は各司法書士事務所の裁量に任されています。
そこで、同じ手続きを行うにしても事務所毎にかかってくる費用が変わるわけです。
同じ手続きをして倍以上違うことは滅多にありませんが、できるだけ安く手続きを行なってもらうという趣旨で考えれば、相見積もりをとにかく取りまくるということが一番安く司法書士費用を収める方法になります。
司法書士の費用ってどんな費用が含まれているの?
司法書士費用と一口に言っても、その内容や内訳はよくわからないことが多いですよね?
なので、簡単に解説しておきます。
司法書士の費用は、以下のような費用の合算で提示されることがほとんどです。
① 司法書士報酬(司法書士の懐に入るお金)
② 登録免許税(司法書士がお客様に代わって法務局に収める税金)
③ その他実費(郵送費、交通費、住民票などを取得した実費)
たまに、知り合いから「司法書士から見積もりがきて、その費用が50万円だったんだけどこれって高いのかな?」と相談されることがあります。
この質問は非常に難しいのですが、上記の①の値段が高いのか安いのかで判断するしかありません。
司法書士報酬には大体の相場感がある
①の司法書士報酬には大体の相場感があります。
手続きによって全然報酬は異なるので、よく聞かれるものだけ例示しておきます。
(ちなみに東京近郊を想定しています。地方にいくともう少し安くなると思います)
・不動産決済(不動産を購入する場合)の司法書士報酬
→10万円〜15万円くらい(20万円を超えるとかなり高い又はそれだけの理由がある)
・相続登記の司法書士報酬
→10万円前後
・抵当権抹消(ローン完済手続き)
→1万円〜1万5000円くらい
この相場感を前提として、不動産決済を行うと想定した上で、先ほどの「司法書士の見積もりが50万円だったんだけど、高いのか?」について考えてみます。
司法書士報酬が20万円とか30万円で計上されているなら、その司法書士の見積もりはかなり高いと判断できます。
司法書士に交渉して値下げをお願いしてみましょう。
司法書士報酬が10万円程度であれば、登録免許税(税金)がかなり高いのだと思われるので、交渉しても無駄かなと思います。
税金部分を安くしてくれることはあり得ませんので。
司法書士の費用が高いか安いのかは「司法書士報酬」部分を確認して交渉するか決める!
これが大事です。
ちょっと余談
ちなみにですが・・司法書士は値段交渉を嫌う傾向があります。
理由は色々あるのですが、値段交渉をしてくる人の絶対数が少ないため、対応することが面倒臭いのです(笑)
そしてそもそも司法書士の報酬はそれほど高いものではありません。(私の私見ですが)
よって、値段交渉しても5000円〜1万円程度の値下げしか通常は望めません。
不動産会社の仲介手数料は3%〜6%ですので、5000万円の物件を買った場合、不動産会社に支払う仲介手数料は150万円〜300万円です。
勿論、仲介業者はそれだけの仕事をしているはずなので、仲介手数料に異論はないのですが、司法書士に値段交渉するよりも仲介業者に値段交渉した方が、トータルは安く済むのでは?と思うこともあります。
まぁ余談です。
具体的な相見積もりのやり方
それでは、実際にどうやって相見積もりを取ればいいのかご説明します。
ここでの想定は「不動産決済(不動産購入)をする場合の購入者がどういう風に交渉していくか」です。
まず、やらなければならないことは「登記内容を確定させて、見積もりが出せるだけの情報を準備する」ことです。
通常、不動産決済を行う場合には、仲介業者を経由して司法書士に見積もりを依頼します。
つまり、仲介業者は司法書士に見積もりを依頼するだけの資料を持っているということです。
そこで、司法書士に提供した情報や書類を仲介業者からもらい、同条件で別の司法書士事務所に見積もりをお願いします。
そうすると同じ条件で、別事務所の見積もりが出てくるので、それを見比べてどこの事務所に依頼するか決めます。
ちなみに、客観的な書類などの情報がないと見積もりはずれてきますし、情報をきちんと提供しないと減税処置などがされず、大幅に値段が変わってしまい、きちんと見比べることができないので注意してください。
ところで、司法書士事務所に相見積もりをお願いする場合に、確実に安く手続きを行なってもらう方法があります。
それは、①別事務所の見積書を見せて、②「この金額より安くしてもらえるなら貴所に依頼したい」と伝えることです。
この方法であれば、まず間違いなく最初の事務所より安くやってくれる事務所を見つけることができます。
相見積もりのデメリット
相見積もりを取ることにデメリットもあります。
デメリットは以下の通りです。
とにかく安くやりたいということを伝えることによって、その他の「やっておいた方が良い手続き」を案内されない可能性がある
とにかく安くやりたいということをを重視している場合、司法書士側から「やっておいた方がよい手続き」について案内されない可能性があります。
勿論、案内を受けた上でやらないことを選択したのであれば問題ないのですが、「安くやりたいから」という情報だけが先行して、案内すらされないということもあり得ますので注意が必要です。
それってどんな手続き?という話になるのですが、ケースバイケースなのでここでは細かい話は避けます。
イメージとしては、「今回の手続きでは必須ではないけれど、いずれきちんと手続きしておかなければならないもの」で認識してもらえれば良いと思います。
司法書士側の心証が悪くなる
司法書士の業界は相見積もりがあまり一般的に行われていません。
というのも、そもそもそんなに簡単に見積もりができない(法律的な判断が含まれ、手続き内容次第で全く別の手続きが必要になることもある)のです。
そして、見積もりを出すにはかなり労力が要ります。
正直、相見積もりだと分かっていれば見積もりを出したくないというのが本音です。
したがって、相見積もりであることを伝えた上で、もしくは相見積もりを隠して依頼をかけた場合には司法書士側の心証が悪くなる可能性があります。
心証が悪くなった場合は、上記で述べたやっておいた方がいい手続きが案内されなくなったり、得する情報などが提供され無くなったりすることもあります。
非常に適当な手続きを行う司法書士にあたる可能性がある
可能性としては低いのですが、司法書士にもかなり適当に手続きを行う人もいます。
ただでさえよくわからない「登記」という手続きなのに碌な説明もされず、横柄な態度で署名・捺印だけ求められたら、正直不愉快ですよね。
しかも、一生に一度の手続きになるかもしれませんし。
そういう司法書士に限って、大事な説明を怠って後日トラブルになることもありますので、安すぎるのも問題かと思います。
少なくとも電話で問い合わせをした際に、きちんと対応をしてくれない司法書士はいくら安くてもやめておいた方が良いと思います。
まとめ
ここまで色々述べてきましたが、まとめです。
① 司法書士費用を安くするには、相見積もりを取ること
② 相見積もりを取る場合には、見積もり条件を同じにして依頼する
③ 安いだけの事務所に依頼すると、有益な情報をもらえない可能性もある
④ 相見積もりをする際には言い方に気を付ける
⑤ できれば信頼のおけそうなそこそこの値段の事務所に依頼する
以上です。
司法書士に依頼する場面では、一生に数回しかない手続きで依頼するケースが多いと思います。
法律的な判断を多く伴いますし、案件によっては非常に難しい判断を求められることもあるでしょう。
できれば値段だけを重視するのではなく、そこそこの値段の信頼できそうな司法書士を見つけて後悔しないサービスを受けてもらいたいと個人的には思います。
今日は以上です。
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